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【ハート将棋物語】〜ハート将棋に恋〜

「これ、動かし方が書いてあるよ!」

娘はもちろん、家族全員がハート将棋に恋したポイントの一つがこれでした。




お友達の家から帰ってきた娘が急に「わたし、しょーぎやりたい、将棋、ショーギ、しょうぎ!」と言い出しました。聞けば、お友達といっしょにアニメ「3月のライオン」を見たようです。

「ショーギは、とにかくなんだかカッコいいゲームなんだよ、ふたりで戦うの、ゆうちゃんはお父さんに教えてもらって、ちょっとできるんだよ、王様やお馬も出てくるんだ、うちにはないの?ショーギ。」

娘の熱意に負けて、「そういえば親父のがどっかにあったなあ」とパパが古い将棋盤を駒のセットを探し出してきました。二枚の板を折りたたむ形の将棋盤はずしりと重く、駒の入った紙箱は埃をかぶって縁が破れていました。


娘はわあい!と箱を開けましたが、小さな駒たちをどう並べるのかもわかりません。パパも実はほとんど将棋などやったことがないらしく、初心者のための将棋ホームページをスマホで見ながら、両陣の駒が並べ終わるまでにはかなり時間がかかりました。

「さあ、始めよう」

どうやら陣形が整い、父娘の戦いの火蓋が切られたものの、歩が一コマずつ前進するということ以外、他の駒の動き方を全く知らないふたりの初将棋です。

「これはなんていうの?」

「きょうしゃ(香車)」

「斜めに行ける?」

「えっと…どうだったかな、ちょっとまって」


駒の動きを確認しながらでは、まともにゲームになるわけがなく、娘は「ショーギはめんどくさいんだね」とつぶやいて、途中で席を離れました。残されたパパのしょんぼりぶりといったら目も当てられず…。

藤井六段の活躍が注目されたり、将棋界が映画やドラマで取り上げられたりするようになっています。ですが、それでもまだ、私にとって将棋とは、年配のおじさんたちが暇に任せて遊ぶものというようなイメージが抜けませんでした。とはいえ、娘の「かっこいい!」「やってみたい」という気持ちがこんな形で潰れてしまうのはなんとも残念でした。

そんな時に見つけたハート将棋です。





ハート将棋の見た目の可愛らしさに、娘は歓声を上げました。なによりも父娘を一番喜ばせたのは、駒の表面に描かれた「進み方」でした。ルールはそれほど複雑ではない将棋ですから、これさえクリアできれば、あとは「かっこいいゲーム」を楽しむだけです。

娘はハート型のデニムカバンにハート将棋を入れて、ゆうちゃんのお家にせっせと遊びに行っています。帰宅後のパパも「仕方ないなあ…」と言いながらまんざらでもない様子で娘と勝負です。

私は、このまま娘が女流棋士になったりしたら…と妄想を膨らませて楽しんでいます。



【ハート将棋物語】〜宇佐木野生(うさぎのぶ)作〜


*実際に「ハート将棋」を購入されたお客様からお伺いしたお話をベースに、

作家・宇佐木野生(うさぎのぶ)さんが「ハート将棋物語」を執筆しました。

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